陰陽師 安倍晴明 闇の残っていた平安時代

リラックス

 陰陽師に興味はありませんか?

軽い気持ちで読み始めたのですが、とってもおもしろいです。

鬼やら怖いものがたくさん出てくるのですが、読み終わりはなぜかふんわりします。

安倍晴明、すごいかっこいいです!ネタバレ注意です!

小説 陰陽師 の背景

 闇が闇として残り、「鬼」や「もののけ」が人と暮らしていた平安時代のお話しです。
同じ、京の都の暗がりに息をひそめてそのようなものと人は暮らしていました。
平安時代は、延歴13年に恒武天皇が長岡京から平安京に都を移してから、鎌倉幕府が成立するまでの約390年間をさします。
寝殿造り十二単衣 仮名文字文化が発症した時期です。
この時代に日本独自の国風文化が花開いた時期です。
平安貴族といえば、男女は歌を送りあい、楽器をたしなむといった雅なイメージですが
実際は、権力争いなども多かったようです。
 小説 陰陽師シリーズも雅な世界の中にそのようなお話しもでてきます。

陰陽師 とは何か 

 現代に置き換えると占い師のようなもの、でしょうか。

小説陰陽師(夢枕 獏作)から引用すると 

「わかりやすく易く言うなら、占い師とでもいうことになるだろうか。
幻術師拝み屋という言い方もできようが、どれも適格なものではない。
陰陽師は、星の相を観人の相を観る。
方位も観れば、占いもし、呪そ(すそ)のよって人を呪い殺すこともでき、幻術を使ったりもする。
眼に見えない力(ちから)ー運命とか、霊魂とか、とか、そういったものに深く通じており、そのようなあやかしを支配する力をもっている。」
「朝廷につかえる役職のひとつであり、大内裏の中には陰陽寮まで設けられている。
清明(主人公の安倍晴明)自身は、朝廷より、従四位下という位を授かっている。
一位が太政大臣。二位が左右の内大臣。三位が、大納言、中納言である。
仕事がら(清明は)かなりの発言力を持っていたのではないか。」

 と書いてあります。なんとも羨ましいでもやりたくない職業です。
清明の術で有名なのは、なんといっても式神でしょうか。式神とは普段は目に見えない精霊です。あまり上等とは言えない雑霊です。
清明は、これを巧みにあやつり、身の回りの世話や時には、いたずらに使ったりもします。清明らしく、思わずニヤリとこちらも笑ってしまいます。

安倍晴明とは 

 容姿は、肌の色が白く唇はほんのりと紅みを帯びており、甘い蜜を含んだように微かに微笑がためられている涼しげな男、である。鼻筋も通っている。長身眉目秀麗である。青みがかった茶色の目をしている。
あまりに顔が整っており、優秀な陰陽師なので宮中では、母親はきつねなのでは、と噂されるほどです。夏でも冬でも白い狩衣をふんわりとまとい、無造作に座っている。
かっこいいですよね!
年齢はわからず、四十歳を過ぎていてもおかしくないのに、まだ三十歳にもならない青年にもみえる、らしいです。後の巻で、清明より長生きした、という僧がでてくるので、いつかは、人間として死んだと思われます。 

 陰陽博士である。これは大内裏にある役所の陰陽寮に属し、天文、暦数、
卜(ぼく)ぜいをつかさどる陰陽師がこの名で呼ばれる。 
方位を観れば、占いもやり、幻術、方術のたぐいまであつかうが、そういう陰陽師のなかでも、清明は一風変わっている。陰陽師の秘事をなすときでも、必ずしも古来の法をとらない。秘事におけるところのわずらわしい飾りの部分を、あっさり捨てて、我流のやり方をする。
かといって、出来ないわけではなく、
公の場ではそつなくこなしたりする。

 清明の屋敷は、内裏の中心にある紫宸殿からみて北東、つまり艮(うしとら)の
方角のある。すなわち鬼門である。平安京の北東に比叡山延暦寺があり、内裏の北東に
安倍晴明の屋敷があるのは、偶然ではありません。

この場所のは土御門大路よりは北、西洞院大路よりは東だったという。
この場所に、清明はおそらく一人で住んでいたようです。おそらく、というのは留守の時でも、夜になると明かりが灯り門が閉じられていたからです。私生活は仲の良い友人でもわからないほどです。

 {源博雅

 官位三位のかなり偉い武士である。安倍晴明の親友。本来、その官位なら一人で出歩くことは考えられないが、あまりかまわない性格のようで、一人で清明の屋敷を訪れたりする。容姿は、武士らしく無骨な感じである。醜男では決してない。無骨ながらも愛嬌のある顔立ちで、これはこれでいい感じです。
天皇の落胤ともいわれている。
楽器の才能に目覚ましく恵まれており、この時代の楽器なら一通りこなすことができる。特には皆に聞こえた上手であったそうである。人の心を激しく動かす力がある。
性格がまっすぐで素直、実直である。陰陽師シリーズがおどろおどろしいテーマであっても博雅のおかげでかなり、和らげられている。

陰陽師 内容

ネタバレは注意しますが、嫌な方はお避けください!

《玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること》  
 はじめてのお話しなので清明や背景の説明が多い。
遠くから聞こえる琵琶の音に心惹かれる博雅のために、清明が動きます。
水無月の初め(太陽暦の6月)の話です。いつも丁寧に季節とその様子を表現してくれています。
 この鬼は外国(天竺)からきた人間が、わけ合って鬼になってしまった話です。遠くの祖国を想うのは理解できますが、鬼にまでなってしまうのは人間の業でしょうか。
名前という呪(しゅ)について考えさせられます。
結局、理不尽に殺される人もいるのですが、時代だからでしょうか淡々としています。
最後の清明のことば「優しい呪ほどよくきく呪はないぞ」は、なるほどな・・・。と思わされます。

《梔子(くちなし)の女》
 面白いお話しです。皐月も半ばに入ったころ、現代でいうなら六月の中頃です。
ある僧のもとに、毎夜女の妖がでます。その女には口がないのです。清明はあっというまに、謎を解いてしまいます。誰も死なない、安心して読める章です。

《黒川主》
 秋の虫の鳴いているころである。
美味しい鮎を清明が謎に調理するところから始まります。やっぱり式神ですが。
ある鵜飼の孫娘のところに男が通い始めます。この時代はこういうかたちもあったようです。ある時、孫娘が妊娠したことに気づき相手を確かめようとすると、とんでもないものをみてしまいます。
そこで、博雅経由で清明に相談が入り、見事に解決します。この先、博雅とお酒を飲む場面には、鵜飼からのお礼の鮎が度々登場します。
最後はなんとも悲しい終わりです。人間と獣の共存はいつの時代も難しいものですね。
生まれた物がどうなったか、時々気になることがあります。

《蟇》
 長月、いまでいう8月の上旬の話である。
これにはこれのストーリーはもちろんあるが、印象に残るのは清明が博雅を連れて
危険とわかっているのに、百鬼夜行の最中に行くことである。だれでも驚くその状態に、声を出すな、とだけ言って様子を見せたりする。また、まことしやかに自分は妖物であるかも、とほのめかし純粋な博雅を驚かせたりする。
時々、というかしょっちゅう清明は博雅に対してそのような行動をする。理解者が欲しいのか、ふざけてなのか。それでも博雅は、いつも味方だ、と言ってくれる最高の友である。

《鬼のみちゆき》
 晩秋のお話しでしょうか。これは、めずらしく博雅から始まる話しではありません。不愉快な盗賊から始まる章です。
 次にでてくるのは、相変わらず縁で酒を飲む清明と博雅のシーンです。読んだ方はわかると思いますが、きのこが無性に食べたくなります。

 きい・・・・・きい・・・・・という車の車軸の軋む音から始まります。牛車なのに牛がつながれていない。その牛車の左右に、黒い直垂を着た男と、白い単衣を着た女が立っている。そして牛がいないのに、ゆるゆると進んでくる。それが、一晩に一大路ずつ内裏に向かっていく。
そのような、面妖な状況と雅な歌が混ざり合って物語は続いていきます。
たとえ帝でも女の業は怖いですよ。

《白比丘尼》
 霜月の半ば、太陽暦でいえば十二月のお話しです。
静かに雪が降り積もりすでに地に積もった雪に接するときの微かな音まで聴こえてきそうな夜です。
今回の式神(おそらく)は、わたしの大好きなねこ、です。ねこから清明の声が聞こえるってなんだかユーモラスですよね! 

女性が、若く美しいままでいたいのはいつの世の中も一緒です。特に美しい方ならなおさらでしょう。
この章では、そのような美しい、でも心の弱かった女性がでてきます。古狐の妖にそそのかされて、人魚の肉(!)を食べて不老不死の身になってしまいます。誰でも老いるのは、恐ろしいですが、みんなが死ぬのに自分だけ「死ねない」というのはもっと恐ろしいことです。一時の煩悩の罰としてはかなり重いものです。
 でも、わたしが若いころにそのような誘惑があったら・・・断るのは難しかったかもしれません。今は老いを受け入れる気持ちが芽生えているので、たぶん大丈夫です。でもあれこれ化粧品を試したり、美容に良いと言われているものを食べたりしているので、煩悩はまだありそうです。

まとめ

 よほど寒い時期は除き、大体は清明の土御門の家の吹きさらしの縁から始まります。
まず、清明、博雅の二人がまったり酒を飲むところから始まります。
いくつかのやりとりがありながらも、「行こう」 「行こう」 との結果になり物語が始まっていきます。物語自体は、グロテスクな面も多く苦手な方もいるかもしれません。    
でも、最後にはやっぱり縁で、二人が「のもう」 「のもう」でまったりと酒を飲み、
物語の余韻を、静寂で静かなものへと変えてくれます。それは、この二人の人柄と関係性が起こしてくれる浄化作用だと思います。
そのため、なぜか読後感が爽やかなのです。どうしてもグロテスクが苦手な方は、無理かもしれませんが、平安の闇の世をたどるのもいいですよ。

 安倍晴明は、本当にかっこいいです。厳しさの中に深いやさしさがあり、見た目のクールさとのギャップが良き感じです。 
読後感のよい、ミステリアスなお話しが好きな方には、ぜひお勧めしたいです。

ただ、読後にお酒を飲みたくなるのは必須なのでそれだけは注意です!


 

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